4. 3次元CADについて

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3次元CADを考えてみましょう

パソコン画面上で図形をXYZ方向の仮想の3次元空間に立体的な図形を描くツールです。3次元CADは、立体的にモデルを表現できることと、物体としてモデルを認識できることが最大の特長です。そのため、手描きや2次元CADのように線の集合体として図形を表現する設計概念と考え方がまったく異なります。
3次元CADは、そのソフトの特性によって「ハイエンド」「ミッドレンジ」「ローエンド」というクラスに分類されます。自動車業界では、モデルに直接寸法や幾何公差を指示して2次元平面の部品図を抹消しようとする動きを模索しています。

3次元CADの特徴は、次の2つに大別できます。

近年の3次元モデリング技術そのものは、すでにだいぶ成熟してきました。むしろそこを核とした作業の自動化や統合データ管理システムの整備が進められている現状です。従来通り3次元モデリング技術も向上させつつも、3次元データを生かす技術の強化をする動きが目立ちます。
立体的な視覚効果 3次元CADで作成するモデルによって、「立体的な視覚効果」が向上します。そのため従来は図面を読めなかった他部門の担当者でも、部品を製作する前に組み立て性などの評価ができ、部品の作り直しを減らせるなどのメリットがあります。また、顧客へのプレゼンテーションや、他部門とのデザインレビューなど設計者以外の人が計画図を見るときに役立ちます。

「モデリングデータの2次利用」について

モデリングデータを加工データとして工作機とリンクさせることで試作部品の製作期間が大幅に短縮できます。
CAMとは、CADで作成した製図図面を利用して、NC工作機械(コンピュータ制御の自動工作機械)のプログラムを作成する装置です。
NCプログラムは、簡単な形状であれば手入力で作成することも可能ですが、X軸・Y軸・Z軸が同時に変化するような3次元形状の場合は、「CAM」のような装置が必要になります。

3Dプログラミングマシーンのモデリング製作は20年前より実施しておりますが、緻密な形状は、やはり限度があり100%のリアリティは実現ができません。

しかし、3Dプリンター(積層精度0.1mmモデル)では、即日立体確認ができ、ほぼ完璧に近い精度のものが可能となります。近年、ABS樹脂使用で価格も40万円をきったモデルも発表されました。検討課題は維持費ですが、その企業にとって投資と効果のバランスが満足できるものであれば、重要視するべきです。

3Dプリンターからの製品完成までをダイジェストで見てみましょう。
3D製作

3Dプリンタ(材料押出堆積法)による製作

また、「ものを作らないものづくり」と称して、3Dデータを立体画像として空間につまみあげて確認できるホログラフシュミレーションも行われております。
弊社が最も注目している分野です。
ホログラフィック・タブレット<zSpace>……http://zsapce.com
現在はAutodesk Maya、Autodesk Showcaseなどサポートしているようです。
近年、フリーで使用させてくれるソフトがあるので紹介します。
学生諸君は是非、使ってみたら如何でしょう。
ここで注意することは、前ページでも言いましたが2次元の図面を3次元に変換することが大切です。2次元で描いて頭脳で考えた3次元と一致するでしょうか?
3Dフリーソフトの紹介
Creo Elements Direct Modeling Express 6.0
https://www.ptc.com/ja/products/cad/elements-direct/modeling/express

では、これからの開発設計手法を考えてみましょう。

• 打ち合わせ:Web会議にて行ない移動時間や出張費は<ゼロ>。

• 作成データ:共用の<サーバー>で一括管理。セキュリティ化におけるAdministratorによるPC操作とファイル管理とその運用の確立。

• 構想設計:<設計ロードマップ>に沿って進行し、状況は<リアルタイム>で確認および円滑柔軟でスピーデーな対応。

• 動作確認:<3Dシュミレーション>動画で確認および分析し独自な解析技術の確立。

• 解析:設計値と実際値との自社係数を擁立。

• 機構解析:機械部品の動作・干渉などを検討することで製品の動作により発生する力や駆動力を時間軸で算出し、運動を解析。

• 構造解析:主に、有限要素法(FEM)が使われ、解析部材の変形を線形と仮定する線形解析と、材料の非線形性を考慮する非線形解析とに大別。

• 強度解析(静解析・線形):金属や樹脂部品の強度の過不足の検討ならびに変形量の検討。

• 振動解析(動解析・線形):部品やアセンブリの固有振動(振動数や変形モード)を求めて、振動の予測や共振を避けるための検討。

• 非線形構造解析(動解析・非線形):ゴムや樹脂、プレス成型など、大変形する部品の大変形・大歪み(ひずみ)モデル、接触問題など境界条件の変化など線形構造解析では取り扱えない複雑な問題を検討。

• 衝撃・落下解析(動解析・非線形):衝突や落下など、高速でぶつかることによって壊れる非線形な現象を、時系列計算で検討。

• 機能試作:<3Dプリンタ>で立体像の作成、<ホログラフ>で立体組立確認。

• 資材発注:加工メーカに<デジタルデータ>で発注。

• 受入検査は:<3Dスキャナー>で確認。

• etc …

製品開発における3次元CADの活用方法については、各企業がWeb上で外部発表していることがありますので、良いところは取り入れるようにアンテナを高くしなければいけません。「ツールとして3次元CADをどのように使うか?」という視点で設計業務をすることが重要です。
時代の流れが3D CADに移行しているとはいえ、あくまでもCADは製品設計の支援を行うツールであります。これからの企業は自社を取り巻く状況を十分に把握し、各業務内容に応じて最適な判断を下す必要があるといえます。個々の設計者やオペレータに関しては、企業の動向に留意しつつ、急激な変化に対応できるよう知識の向上やスキルアップに努めることが重視されるでしょう。
おなじ事を繰り返していいますが
ダーウィン進化論では、生き残るのは <賢いからではない> <強いからでもない> 変化することができるものがそれを得るとあります。
……..
いままで、設計ロードマップを読んで頂いてありがとうございます。
いま、設計の「とびら」が開いたと思ってください。
学生諸君、新人社員の諸君、あなた達がスキルアップするには宇宙規模の大きなプレスが必要なのです。
すべてをクリアできるエリートは誰一人いません。
自分で消化できないところが<がんばれる気持ち>をつくるのです。
……..
「では、3D CADで設計すれば問題はおきないのでしょうか?を考えましょう」

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累積公差を考えてみましょう。