5. 累積公差とは?

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累積公差を考えてみましょう。

3次元CAD上で部品干渉チェックを行い、エラーが無いことを確認したうえで図面を出図し、部品も図面の指示どおりにできてきたが、実際にモノを組んでみると……干渉が起こって組み立たないという問題が起きます。
これは、部品実物のそれぞれの小さなばらつきがどんどん積み上がることで、設計で狙った組み付け位置からずれてしまったことが原因です。

公差を見込まない寸法で3Dモデリングしていけば、その後に2D図面に振られた公差による影響を推測できない結果、発生する問題です。最大実体でモデリングする方法もあるが、すべての設計ケースに使えるわけではないし、逃げを取り過ぎても肝心の設計が成り立たなくなります。

設計段階で公差解析が適正に行われていれば、このような問題で発生する無駄を削減することが可能となります。しかしながら、公差解析をルーチン化して必ず実践する企業はまだ多いとはいえません。。ひとつの開発部隊の中でも、個人個人で意識や知識の差がでる場合もあるようです。

例えば短納期な機構設計現場では、新人の設計者が熟練の技術者に「ここはどのくらいにしておけばよいか」と尋ね、理屈もよく考えずに公差を決定してしまう。尋ねられた熟練の設計者も、自身の経験による勘を頼りに公差を決めてしまうという人も少なくありません。また過去の量産図面のデータを引っくり返し、自分の設計している部品と状況がそっくりなものを探し出しそこの公差を流用して図面を描いて、とにかくモノを作ってしまうこともあります。

公差解析では、ひとつのユニットの中のそれぞれの寸法公差と、生産台数を考慮し現実に起こり得る寸法ばらつきを予測しなければなりません。それを基に「コストを落とすためには、どこまで公差を緩めても大丈夫か」「規格外の部品はどれくらい発生するか」といった判断をしていく必要があります。
手法として、CAD上の部品断面をさまざまな角度で切る(断面作図機能)や、あるいは2次元の図面からそれぞれの寸法や公差をExcelなどに書き写し、二乗和などを使った地道な計算をしていくことを設計のルーチンとして行う必要があります。

Excelの関数を使ったとしても検証個所が多くなれば少々面倒な作業となりますが、部分的に自社製作の簡易ソフトでも充分対応可能です。それを検討をしていれば大きな問題は避けられます。しかし、モノを作って確認してしまった方が早いのではないか? とか、とにかく市場へ早く出すことを優先したい場合に検討されない場合が生じます。また、実物を見て判断したほうが安心するというのは人間の正直な感覚かもしれませんが、本当にそれでいいのでしょうか?
………….

次に公差検討の具体例をみて、累積公差とは?を考えてみましょう。

•  累積公差の計算方法には、いくつかの手法があります。

関連した公差を単に足し引きした検討方法最悪値を求めるときに使用する場合の計算方法。

Aは、6.3~5.7の段差を有する

•  二乗和平方根
数種の公差を持つ寸法が多数ある場合、全てがプラス公差またはマイナス公差にはなりえないといった理論から確率的な考えを取り入れた検討方法で、上記の累積公差では途方もない数値になってしまう算出値が、現実に近い内容のものにすることを目的に二乗和平方根の計算方法があります。

図面寸法法
図面表記の寸法に各々の寸法公差の上公差及び下公差を二乗して合わせ、
ルートでくくり、値を求める方法。
上の式から「上公差」「下公差」を集め二乗しプラス、ルートにて算出
%e7%b4%af%e7%a9%8d%e4%ba%a4%e5%b7%ae%ef%bc%92
よって公差は±0.17となり
Aは6±0.17→Aは6.17~5.83の段差を有する。

中間値法
前記の同じ手法であるが、加工者の心理的なものを取り入れた方法で、寸法公差が上公差のみあるいは下公差のみを持つ場合に加工者は、その寸法値の中間を狙って加工を施すといった理論から成り立っており、
狙い目を寸法数値に置き換え上公差、下公差を有する公差にしてから二乗法を導入して計算する方法。

よって公差は±0.16となり
Aは6±0.16→Aは6.16~5.84の段差を有する。

この結果、図面寸法法と中間値法では、ほぼ同じ値がでました。

弊社では中間値法を推奨しております。

その理由は、加工するプログラマーは3Dデータや2Dデータを貰っても実はそのデータをその会社用に変更しているのです。必ず、寸法公差の中心値を狙った加工ソフトに作り変えているのです。

アーチェリーで、マトの真ん中を狙うのと同じです。

しかし、データ変更は100%はできません。現在の3D CAM のソフトの数値変更できる人材はおりますが非常に難易度が高い技術です。

では、3Dデータの理想的活用を紹介します。

中国のある会社は、設計者が中心値の検討を3Dに反映させる試みを行い、つまり、必ず3Dデータのプラス・マイナス公差(同一公差)で製作してください・・・との下流への受け渡しをしているそうです。
この作業は、2D図面に公差を入れる作業を3Dデータに反映させることです。また、2D図面には長さに対する社内公差が決まっており<特殊公差>のみが記入されるものとなっております。そして、詳細の寸法は無記入ですべては3Dデータに依存する方法をとっています。

これが出来る根拠は、その会社の取り巻く加工メーカ等が最新の機械やCAD:CAM技術を取り入れて、受け入れ体制の強化を計っているからです。まして、価格も日本の50%OFFの製品を生み出しているのが現状で、結果、海外製作委託や海外投資:技術流出など日本を取り巻く環境は悪化しています。

そして、働く人々の考え方は<やった人とやらない人がいたら、やった人がいい思いをするのが平等>という、いたって当たり前ですが競争意欲は好感をいだきます。

我々、設計者は<ものづくり 日本>の一員として、これからにおいて<なすべきこと>は、一歩先に行く製品の開発(人を豊かにする魅力ある製品開発)や、営みに欠かせない製品開発を手がけ、<MADE IN JAPAN>を海外にアピールする必要があります。

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