8. 構造設計とは?

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構造設計とは?

設計されたリンクやギヤなどの部品の強度、剛性を問題にしているのです。

そして、機構を満足させる部品の設計そのものを指します。

機械部品はそのままの状態で壊れることはなく,ある程度以上の強い荷重が加えられたときに壊れるのが普通である。荷重の形式には様々な種類・分類があるが,その代表的な形式として引張り荷重,圧縮荷重,せん断荷重があります。
構造設計においては,どの部品にどのような形式の荷重が加わるのかを適切に判断することが重要となります。

強度とは・?
<応力>を考えてみましょう

応力(stress)とは、物体の内部に生じる力の大きさや作用方向を表現するために用いられる物理量です。実は本来、応力とはテンソル量であるため結構難しい概念なんです。
通常材料力学で使う範囲においては、テンソルの概念など知らなくても問題ありません。

変形を直観的に捉えるセンスがあれば良いのです。

参考までに
物理量には応力ベクトル (stress vector) と応力テンソル (stress tensor) の2つがあり、単に「応力」といえば応力テンソルのことを指すことが多くなっております。
応力ベクトルと応力テンソルは、ともに連続体内部に定義した微小面積に作用する単位面積あたりの力として定義され、それらの単位は、SIでは[Pa] (N/m2)、重力単位系では[kgf/mm2]で、圧力と同じとなります。傾きは微分で面積は積分で求めていきます。
一般に物体の内部に考えた任意の単位面積を通して,その両側の物体部分が互いに相手に及ぼす力をその面に関する応力といいますが、応力にはいくつかの異なった定義があります

1. 単位面積当たりの内部の力の強さで,物体の二つの隣接した部分の間にかかる作用と・反作用をいいます。

2. 外力が物体に働いた場合の物体の変形に対する抵抗で、応力は外力と等しい。

3.  静水圧によって保たれている平衡状態を不安定にする一方向の力。

4.  物体内部の任意の面の単位面積に働く力。

5. 物体を変形する、または変形するように働く力をいい、単位面積当たりの力で測られる。

むずかしいですね!

では、壊れなくするためには?
安全率
設計上、許容できる最大応力を許容応力といいいます。実際の部材に作用する荷重は常に許容応力よりも小さくなけれならない。一般に許容応力は次式で求められます。

許容応力=基準の強さ/安全率

ここで,基準の強さとは破損の限界を表す応力であり,引張り強さなどを用いる。安全率は、材料強度のばらつきや荷重の見積もり誤差などの、不確定な要因を考慮して設定するものである。
実際に機械を設計する場合、機械や部材に作用する力を精度よく見積もることは難しく、安全率が低すぎると危険性が増し、安全率が高すぎると機械の重量や製作コストが増すので好ましくありません。基準の強さを破断する際の応力とした場合の安全率の目安です。あくまでも目安ですが、これらの値をベースとして設計を進めるべきです。
1. 応力集中
丸棒や四角い板材などの単純な形状の部品であれば、部品の内部には一様な応力が加わる。しかし,部品に溝、穴、段違い部などがあると局部的に高い応力が加わる。これを応力集中といいます。
応力集中を小さくするためには、大きな荷重が加わる部品に急激な形状変化を与えないことである。

2. 繰り返し荷重
荷重の有無や強弱が繰り返されている場合、小さい荷重であっても部材が破損することがあります。繰り返し荷重が加わる部材を設計する場合、材料の強度や性質について十分に検討しなければならない。

3. クリープ
クリープとは、一定の応力のもとで,永久ひずみが時間とともに増加する現象である。クリープは温度の影響を大きく受け、高い温度(鉄鋼材料で350~400℃以上)で長時間使用される場合に生じやすい現象がおきます。

クリープ
高温環境下での引張り強さ
機械材料の引張り強さは、温度の上昇とともに低くなる。例えば、ステンレス鋼棒(SUS34)を圧力容器として使用する場合、500℃で使用可能な最大の応力(許容引張応力*)は常温時の約1/2倍、700℃では約1/5倍にもなります。
高温・大荷重の環境で使われる部材を設計する場合は材料の強度に気をつけなければなりません。

座屈
細長い棒に圧縮荷重が加えられた場合、荷重が小さくても、横方向にたわむことがあるこれを座屈という。座屈は、材料が太く、短いほど起こりにくい。圧縮荷重を受ける細長い部材を設計する場合には注意を要する。
例えば、細いロッドで運動を伝達する場合、ロッドを押して運動を伝えるよりも、ロッドを引いて運動を伝える方がよい結果となります。

などなど、、たくさんの応力に関する計算式や解析手法がありますが、手計算の場合は限界があるようです。しかし、それをやるか?やらないか?の差は大きいのです。
複雑な機械を高性能化するためには、定量的で精度の高い解析が必要不可欠になってきています。機械の高性能化・最適化を目指す場合、詳細な設計計算やコンピュータを利用した高度な解析が有効です。
実際の機械設計に用いられる例として、コンピュータを利用した流れの解析や有限要素法<FEM>と呼ばれる数値計算法を利用した構造・強度解析があります。
実際の機械製品を開発する場合、故障しにくい製品であること、そして、もし故障してもすぐに修理できる製品であることが重要である。ここでは、信頼性評価に用いられるFMEA手法<Failure Mode and Effects Analysis>があります。
FMEA手法は,製品設計上の信頼性を改善する目的で開発され、機械システムを構成する部品(または機器)に故障が発生した場合を想定し、その際、機械全体にどのような影響を与えるのかを表を使って解析する手法です。

設計FMEA<設計故障モード影響解析:Design FMEA>は、製品設計段階で用いられ、製品を成す部品・ユニット毎に単純化された故障モードを挙げ、これらの故障モードが製品に及ぼす影響を予想することにより、潜在的な事故・故障を設計段階で予測・摘出する。さらにこれら故障モードに対して故障が発生する確率、発生した場合の影響の大きさ及び、発生の見つけにくさなどを評価・採点,ランク付けを行い重大な事故・故障を予防することを目的としています。

応力は技術計算の基礎となります。
設計者に必要とされる能力は、構造力学・材料力学・機構学 ・金属材料 ・機械要素 ・機械力学 ・機械工作法・ 塑性加工 などの学問です。
機械工学卒の人たちは、当たり前のように学校で勉強したと思いますが、そうでない方はこれだけの学問を勉強するには、どうしたらいいのでしょうか?
文化系の人が、技術系の職場に配属されるケースもあります。

現在では、社会人等のノン・トラディショナル・スチューデントの受入れ方針が確立されており社会人を対象とした実践的なゼミ形式の短期セミナーも開催されていて参加可能です。是非、調査をしてみたらいかがでしょうか?。

そして、土曜日は学生になってみたらいかがでしょう!。

詳細設計について
詳細設計に関しての手法については職種別で異なりがあり、弊社は顧客個別対応の詳細設計手法でご要望にお応えしております。

これまでの、<ケープヒル・ロードマップ>は、新人諸君がどのような分野の仕事に携わっても共通の認識で取り組んで頂けるはずです。
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最後に
いままで、ケープヒル・ロードマップ<基礎編>を読んで頂いてありがとうございます。
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